「貴様」について考えた

どうして貴様が蔑称になったのか

 いま、私たちが「貴様」というと、相手を見下す言葉のように使うけど、「貴様」という言葉は文字通りもとは敬称で、こうして蔑称のように使われ始めたのは江戸時代かららしい(日本語学大辞典の敬語史の項目の記載による)。どうしてこのような変化が起きるのか気になったので、少し考えてみることにしました。

相手を遠ざけるということ

 元来,日本では相手に敬意を示す言葉の使い方として、概念的に「相手をより遠ざける」ということをしていたらしい(たしか大野晋さんの『日本語練習帳』のなかの記載による)。中国的な敬語の意識としては「相手を上にあげる」だったらしいけど、相手を遠ざけるにしても、上にあげるにしても「相手と距離を置く」ということに変わりはないわけです。

 ここから「嫌いな相手に対して距離を置く」ための用語として「貴様」のような言葉が用いられるようになったのではないかと考えました。皮肉として使われるにしても「相手と距離を置く」というところが共通だからこそ、そこを軸として、反対言葉のように使われるようになったのではないかと推測しました。

まとめ

 「貴様」は、敬語の持つ「相手を遠ざける作用」が転じたことによって、侮蔑する相手に対しても使うようになったのではないかと考えた。

(この投稿が初投稿なので、なんか書こうと思ってこの話題を書きました。三日に一回とかのペースで上げていければいいなと思う。頑張る。)